子ども心を忘れない、快活パティシエ

子どものころの誕生日やクリスマスのケーキは必ず母親の手作りで、当時から甘い物が好きだったと石井さん。「妹がパティシエになったらいいなと思ってたんですけど『あ、自分がなればいいんじゃん！』って気付いて。当時、滝沢秀明さん主演の『アンティーク』という洋菓子店を舞台にしたドラマがあったのも少なからず影響してますね」と、この世界に進んだきっかけを語る。

担任の先生の話から今の職場を知り、企業説明会に参加。店内の写真などを見て、ひと目で惹かれたという。「三島の山の上のほうにこんな店があるとは聞いてたんですけど、ディスプレイがディズニーランドのお土産売場みたいでワクワクしたんですよ。そこからもうほかの就職先は全く考えずに、次の週には面接に行って、神奈川からアルバイトで通うようになりました」というほどの運命的な出会いだったよう。

学校で学んだのは調理技術はもちろんだが「腹から声を出すっていう、演劇部みたいな授業が宿泊研修の時にあって。おかげでバイトの時から声だけは一番デカい、お前が来ると店内が元気になるって言われてました」という宝も得たとか。今のハロウィンブーム以前から仮装写真を募集するイベントなども開催していたという、地元では人気の店舗。そんな店で働く喜びを尋ねると「三島店は住宅街にあって、小学生くらいの小さいお子さんがひとりで来ることも多いんですよ。値段も100円くらいで買えるものからありますから。そんなお子さんから『いつもありがとう』みたいな手紙を渡された時はうれしかったですね」というエピソードに心和まされた。